9月25日(日)。午前南東北病院NABEホールにて、認知症市民フォーラムに先立ち、当会会員を対象としたスキルアップセミナーが開催されました。
福島県総合療育センターの山田奈保子先生(当会副会長)が「聴覚」をテーマに講義を行い、約70名の会員が聴講しました。
講義では、年々進化している人工内耳や補聴器などのお話、加齢に伴うきこえにくさ、難聴児への支援などのお話がありました。
高齢者の難聴への支援としてSTができることとして、コミュニケーション場面の拡大と聞き取りやすい環境設定などに働きかけること、また、STが臨床で用いている声の出し方や口の開け方などが、聞こえにくさのある高齢者の理解を促すツールとなることなどのお話がありました。また、難聴が進むことによって認知症を発症しやすくなることなどのお話もありました。
また、小児の難聴医療では、過去には難聴の発見が2~3歳まで見過ごされることもありましたが、新生児聴覚スクリーニングの普及などにより、現在は生後3か月までに耳鼻科で精密検査、6か月までには療育が開始されるようになっているそうで、補聴器の装用開始や人工内耳の埋込を実施する時期も従来よりもだいぶ早くなっている、とのお話もありました。
聴覚障害は、私たち言語聴覚士の中でも、直接的な支援に携わるSTが非常に少ない分野ではありますが、直接的な支援には携わらなくても、高齢の方の支援に携わるSTや小児の発達障害などの臨床に関わるSTも、職場や地域の中で、聞こえにくさのある方の支援に関わる場合もあります。そのときに、当セミナーで学習した内容を振り返りながら、専門職として適切な助言や支援ができるようになりたいと思いました。(大平)